有福PROJECT

泊食分離の「食」を担う店へ

有福温泉振興会 様

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島根県の南西部に位置する江津市有福温泉町。ここは、古くから親しまれている温泉街で、1370年以上の歴史を誇ります。かつては広島県などからの観光客でにぎわいを見せていましたが、旅館火災や水害の影響で観光客が減少してしまいました。
2021年、有福温泉に昔のような活気を取り戻すべく、江津市や地元旅館、広島の事業所のメンバーで構成された「有福温泉振興会」が発足。有福再生プロジェクトにかける想いを、振興会のメンバーでもある三階旅館の伊田様、江津市商工観光課の三木様、有福BIANCOのスタッフにお話を伺いました。
有福温泉は、今から10年ほど前にも地元の若手事業者が中心となり、温泉街再生への取り組みを行っていました。しかし、2017年に樋口旅館、小川屋旅館、有福カフェといった3つの施設が廃業に追い込まれ、計画は失敗に終わってしまいます。
地元住民や自治体の方々も、こんな狭隘な場所で再生するのは難しいと半ば諦めていましたが、歴史ある温泉を途絶えさせてはならないという想いから、有福温泉再生プロジェクトが立ち上がりました。

プロジェクト立ち上げのきっかけ

三木

有福温泉再生プロジェクトを進めるにあたり、過去の経験から、地元の人間だけでやるのは厳しいと感じました。そこで、有福温泉再生計画を広島県の事業所さんに広くPRしてもらったところ、イベントスさんからご連絡をいただき、そこからのご縁となります。
広島でケータリングやレストランの運営をされており、食についての知識やノウハウがある。そして、実際に吉山のレストランで話を聞いたり食事内容を拝見したりした結果、ぜひ有福温泉に来てほしいとお声がけさせていただきました。

原田

社長の川中からこの計画を聞き、最初に写真を見たときは、「え、ここ!?」と愕然としたのを覚えています。本気でここでやるつもりなのかと。しかし、江津市や有福温泉町の皆さんとお話していくうちに、エネルギーのようなものを感じ、私たちも本格的に頑張ろうという気持ちになりました。
レストランが宿のセントラルキッチンの役割を担う「泊食分離」という部分に魅力を感じましたし、お店を出させていただく場所も温泉街の中心部。この町の活性化のためにも、しっかりやっていこうと決意しました。

三木

高齢化や人材不足などの問題で、旅館で料理を作ってお客様に提供するのが難しい時代になっていると感じており、プロジェクトの計画段階で「泊食分離」というのをテーマに挙げていました。そこは、実は10年前から変わっていません。

伊田

そうですね。ただ、地元の方には10年前のイメージがあったのでしょうね。僕はずっと有福にいるので、何かあれば僕のところに聞きに来るのですが、今回ばかりは何も聞いてこられなくて(笑)最初は、ちょっと遠くから見ている感じがありました。
今回の再生プロジェクトは、イベントスさんをはじめ、広島からいつくかの事業所さんが参入されており、地元の方も“前回とは少し違うな”と肌で感じた部分があったのでしょう。少しずつ理解されている様子でしたね。

レストランとワインショップをオープン

こうした経緯があり、有福温泉街の入り口にあったお土産店を改装し、イタリアンレストラン「有福BIANCO」が誕生。さらに、レストランの近隣には、ソムリエが厳選したワインを取り扱う「GRANDS VINS 18区 有福店」がオープンしました。

メンバー紹介

原田 邦子
株式会社イベントス
GRANDS VINS 18区 有福店 店長

ソムリエの資格を持ち、GRANDS VINS 18区 有福店の店長として活躍。これまで多くのお客様により良いワインを提案し、今後は有福地域にてより多くの人にワイン・お酒の楽しみを知っていただくため活動している。
伊田 様
三階旅館

有福温泉にある純和風旅館「三階旅館」の社長、そして有福温泉振興会の副会長を務める。調理師の資格をもち、旅館で提供している食事は自ら腕を振るった自信作。若くから三階旅館の経営に携わっているため、住民からの信頼も厚い。
三木 様
江津市役所

江津市役所商工観光課で観光振興係長を務める。有福温泉再生プロジェクトを立ち上げ、有福温泉が江津市の観光拠点となるよう、環境整備などに力を入れている。